新日本:ロングインタビュー、柴田勝頼が明かす1.4への思い「自分がプロレスをすることで、長い間表現するのを待ち望んでいたものを見ていただけると思います。」
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ヘッドバッドは柴田勝頼を殺しかけた。
プロレスブーツを履こうと考えている人間には戒めになる話である。颯爽と現れる柴田は、リング上の相手を頭で殴るヘッドバッドを得意としていた。しかし、これは打撃の矛先が相手に向かう技である。
頭突きの度に脳をやられ、柴田は4年前に倒れた。2017年4月の新日本プロレス「Sakura Genesis」でオカダ・カズチカを相手に38分間の試合を行った。
しかし、それは短命に終わる運命にあった。
両国国技館のバックステージで床に横たわる柴田は、硬膜下血腫のダメージに苦しんでいた。内出血により左脳に大きな損傷を受け、右半身は一時麻痺状態にきたしていた。新日本の未来を背負って立つ柴田にとって、これまでのリング上のどんな相手よりも大きな試練が降り掛かった。
柴田は命がけで戦った。
「長いような、暗いような………先が見えないような。でも、自分の痛みを感じる事が慰めになりましたね。色々な葛藤がありましたけど、その痛みが、自分が生きていることを思い出させてくれました。」
悲しみや絶望の中でも、柴田は決して闘志を失わなかった。いつか回復して、新日本のリングに帰ってくるという思い、いや祈りが彼の支えだった。
「いつか必ずリングに上がれると信じていたんです。そう信じる事をやめなかった。」
今年の1.4、東京ドームで柴田はその祈りに応える事になる。レスリング・キングダム16で謎の相手と戦うのである。
柴田は10月に5分間のグラップリングマッチで力試しをした。G1クライマックスの最終夜、ザック・セイバーJr.とリングに上がり、グラップルをベースにした洗練されたアプローチを見せたのだ。柴田の試合は、ストレッチやサブミッションは有効、打撃はNGという「キャッチレスリング」ルールで行われる。このルールは、柴田が将来プロレス界で活躍する為に必要なものだと考えている。
「可能性は十分にあります」と、42歳にして新たなキャリアをスタートさせる柴田は語る。「今のレスラーは派手で大きな技にこだわる人間が多く、現代のプロレスは基本的なことから離れてしまってると思うんです。新日本プロレスにとって最も重要なのはその基本であり、自分は常にそれを追求し続けます。」
楽観主義者の柴田は、この怪我から多くのプラスが生まれたとさえ考えています。
「もし、怪我をしなかったら、LA道場は実現しなかったでしょう。試合は出来なかったけど、LA道場の連中と気持ちよくレスリングが出来た。そして、新日本プロレスを愛する多くの人達に、新たなチャンスをもたらしてくれることになるでしょう。だから、たくさんの良い事があったんですよね。」
新日本プロレスの象徴であるオカダはかつて「プロレスラーは超人である」と発言した事がある。もし本当にそうだとしたら、スーパーマンはもはや電話ボックスからではなく、黒いタオルを首にかけてリングに上がっている事になる。
「オカダが超人について言っていたのを聞いたよ」と柴田は少年のような笑顔を取り戻した。「オカダが言ってたのは、多分俺の事だよね?」
後遺症が残れば、プロレス界はその美しさの一部を永遠に失ってしまう。しかし、今回は奇跡が起こった。柴田は元気である。当然、喜ぶべきことは1つしかない。
「帰るべきところに帰るんです。1月4日には、みんなに分かってもらえるはず。自分がなぜ、あのリングに立ちたいのかが伝わると思います。」
「1月4日の試合は、他のカードとはまったく違うものになる。自分がプロレスをすることで、長い間表現するのを待ち望んでいたものを見ていただけると思います。」
Sports Illustrated
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