1月31日、クリスチャンはロイヤルランブルでWWEに復帰し、世界中のファンに衝撃を与えました。その一ヶ月後にはAEWと契約をし、再び私達に衝撃を与えたのです。
試合出場が許可された今、彼はプロレス界で最もホットなフリーエージェントとなりました。元世界チャンピオンである彼と一緒に仕事ができるチャンスには、どのプロモーションも飛びつくものですが、彼が選択肢を検討した結果、AEWを選んだのです。
AEWでの初試合は3月31日フランキー・カザリアン戦。それ以来、チーム・タズとの抗争が続いています。水曜日に行われたウィル・ホッブスとの試合の前にクリスチャンに話を聞き、クリアリングのプロセス、AEWを選んだ理由、目標など様々なトピックスに触れました。
クリスチャンは2014年脳震盪の問題で引退を余儀なくされたとき、自分のキャリアは終わったと思っていました。しかし、ダニエル・ブライアンのように困難に立ち向かい、自分がまた試合に出られるぐらい健康であることを証明するための努力を行いました。
「かなり長いプロセスでした。復帰しないのかと何度も聞かれましたが、答えは「ノー」でした。それが正しい答えでした。去年のロイヤルランブルでエッジが復帰した時も、怪我の状況は変わっていて、これはやれるきっかけかもしれないと種を脳に植え付けられたのです。」
「その頃、他の事をしていたので忙しかったんです。パンデミックに突入したとき、身体的にベストな状態ではありませんでした、色々な意味でバッドシェイプでしたが、幸せな引退生活を送っていました。ただランディ・オートンとの非公認試合の以来を受けた時はいい気分でした。自分が壊れやすく、動きに気をつけなければ行けないような感じはありませんでした。」
「私がレスリングをすると発表されたとき、人々は私がレスリングをするのかどうか興味をもってくれました。ですが、本当の試合ではなかったので、彼等を失望させてしまった気がします。自分がノーコンタクトリストに載っていたので、気をつけなければいけませんでした。」
昨年6月に行われたオートンとの試合をきっかけに、クリスチャンはパフォーマーとして復帰するためには何が必要なのかを考えるようになり、自ら医師の診察を受けて自身の状態を確認しました。
「自分の状態を確認するために、自分で検査を受けに行きました。南フロリダ大学で脳震盪の検査を受け、医師と面談しました。「君はこれらのスコアで素晴らしい結果を出しました。全ての項目で平均点かそれ以上でした。身体検査も素晴らしい」と言われました。」
「私は、リングに戻って自分の条件でキャリアを締めくくるチャンスがあるなら、是非やりたいと言いました。彼は自分が望むならやってもいいと言ってくれたので、そこからチャレンジが始まりました。正しい方法で復帰するために努力を始めなければ行けないと考えました。栄養学の会社を雇い、47歳にして最高の体調を整える事に専念しました。」
「何度かジムに通いましたが、人に近付かれたり、触られるのではないかという猜疑心が強く、集中出来ませんでした。そこで、自宅のガレージに小さなジムを作ったのですが、これが一番の収穫でした。孤独の中でひたすら努力を続けました。秋にWWEに相談したところ、彼等はこの件をひっそりと進めたいと言ってきました。」
「ピッツバーグのメディカルセンターに送られ、ジムでのトレーニングを受けました。非常に徹底されたものでしたが、医師はフロリダの医師と同じ事を言ってくれました。そのおかげで、私は前に進み続けるために精神的にも素晴らしい状態になりました。」
キャプテン・カリスマのロイヤルランブルでの復帰は、ロイヤルランブルの一夜の本物のサプライズでしたが、WWEがそれを伏せておく事が出来た理由の一つは、それは事前に計画されていなかったからでした。
「ロイヤルランブルに出場しましたが、それは突然の事でした。彼等は金曜日の午後7時頃に電話をかけてきて、日曜日のランブルに出ないかと尋ねてきたんです。開催から48時間以内の連絡でしたが、7年間もリングに上がっていなかったんです。それはまるで自転車に乗るようなものでした。リングに戻ってからはとてもいい気分でした。」
「ランブルの後、WWEとの話し合いは続いていました。私には両社で働いている有人がいて、その1人にジョン・モクスリーがいます。モクスリーが「いいか、フリーエージェントなんだし、あんたにとって最後のチャンスになるだろう。全ての選択肢を検討しなければいけない。全てのカードをにぎっているんだから、少なくともトニー・カーンと話をするべきだ」と言ってくれました。」
「彼の言う通りだと思い、トニーと2位間程話して、意気投合しました。彼が、私が会社に何を提供出来ると思っているのか、何をもたらすことが出来ると考えているのかを聞いて、このキャリアの現段階で完璧にフィットしていると感じました。これこそが私のキャリアの最終章に相応しいプラットフォームを持つ、ということなのです。」
「私がトニーに感謝しているのは、彼の誠実さと真の意味での善良な人柄です。これは私にとって非常に重要なことです。会社のために私が出来ること、そして次世代のレスラーのために私が出来ることなのです。」
クリスチャンは2020年6月15日に無認可試合でオートンと対戦しましたが、それはバイパーを危険視させるためのストーリーライン・セグメントでした。厳密には7年ぶりのリアルマッチはAEW Dynamiteでフランキー・カザリアンと行われました。
「トニーと私は、その試合が行われる一週間程前に電話で話しました。「私のTシャツには"誰よりもアウトワーク"とかかれているから、そろそろ仕事に打ち込まないといけないかな」と言いました。トニーの口から最初に出てきた人物の名前は、フランキー・カザリアンでした。私もそう思っていたと返しました。」
「私のキャリアの多くは「過小評価されている」と言われていることが多々あります。フランキーもまた本当にキャリアの中で過小評価をされてきた人物で、もっと多くのものをもたらしてくれる人だと思います。私の親友であり、彼と試合をすることで、彼が如何に優れているかを人々に思い出させるのは、私にとってとても意味のあることでした。私は、勝つか負けるかが問題ではなく両社がより良い状態で試合を終えられるような試合をしたかったのです。それが実現出来たと思います。」
「今のところ、リングに上がる機会は全てケーキの上のアイシングのようなものです。私はたくさんのことをこれまでに成し遂げてきましたが、ベストヒットツアーをするために戻ってきた訳ではありません。胸を叩いたり、目に手を当てたり、観客の顔を見たりするために戻ってきた訳ではないのです。」
「私は自分のキャリアの中で最高の仕事をするために戻ってきたのです。だからこそ外に出て本当の試合をする事が重要でした。20分近い試合になったと思います。私は質の高いパフォーマンスをしたいと思っています。目標としては、AEWで出来る限りの事をしてメインイベントでチャンピオンを争う事です。」
カザリアンとの試合後、クリスチャンはチーム・タズとの抗争に突入しました。先週は待ち伏せされ襲撃されたクリスチャンが攻撃をしてきた1人と対戦する事となりました。
「水曜日、ウィル・ホッブスと対戦しますが、彼はこれまで非常に印象的な選手だと思います。ランキングで言えば、トップ5に入っています。AEWに登場以来、印象的な活躍をしていますが、これは彼の才能と向上心の現れです。非常に短期間で多くの成功を収めています。」
AEWにはクリス・ジェリコを始め、ビッグ・ショー、モクスリーなどクリスチャンの友人が所属していますが、彼はロスターの若いスター達と対戦する事にも喜びを感じています。
「多くの若い選手と対戦する事を楽しみにしています。マット・ハーディーと素晴らしいメインイベントを行ったばかりのダービー・アリンもいます。私はMJFのように話が出来る選手もチェックしています。彼も股、本当に才能のある若い選手だと思います。5年後の彼の姿を想像すると怖いですね。サミー・ゲバラも才能に溢れていて、その多くが未開発だと思います。」
「AEWのような若い会社に来て、全く新しい目標が出来ました。それは会社の成長を助ける事です。先週、素晴らしい視聴率を記録しましたが、これを活かして、この勢いを維持していきたいと思っています。」
ここ数ヶ月の間に、AEWは多くのプロモーションと協力関係を結んでいます。NWA、Impact、新日本プロレスの選手がクロスオーバーしているのを見て、クリスチャンが古巣であるImpactに戻るのではないかと多くの人が思っています。
「今のところ、その予定はありません。今は、AEWに集中していますが、将来何が起こるかは誰にも分かりません。私はAEWでは比較的新しい人間です。今のところ、自分の焦点はAEWからあまり離れてはいけないと思っていません。このブランドの一員として、このブランドの発展に貢献する事を約束します。」
クリスチャンがTNA時代から多くの時間を費やして戦ってきた相手といえば、サモア・ジョーです。キャプテン・カリスマと同じく、先週WWEからリリースされた彼はもうWWEにいません。
「驚きましたね。ジョーはものすごくタレント性のある人間です。リング上でもそうですし、言葉のスキルもすごいです。コメンテーターをやらせても自然体でした。このように多くの役割をこなせるマルチな才能を持った人間は非常に基調です。私の目から見ても彼はトップパフォーマーです。タイミングがくれば、彼を求める人が後を絶たないのは確かだと思います。」
クリスチャンは自ら競技を引退したいと思っていたため、7年ぶりに戻ってきたリングで新たな視点を得る事が出来ました。引退するまでに何をするかを考える必要がなくなり、リングから最後の旅立ちの日を決めている訳ではありません。
「私はAEWと複数年の契約を結びました。それを乗り越える事を約束し、その後、自分がどうなっているかを見極めるつもりです。まだ正確な日付は決めていませんが、始まりよりは終わりに近付いている事は分かっています。ある意味、この7年間、私の体は保存されてきたのです。」
「リング上ではとても気分がいいので、何が起こるのかは分かりません。この状態を取り戻せた事は大きな贈り物であり、いつでもこのロープを踏めることを当たり前だとは思いません。私は一歩一歩進んでいますし、得られる全ての瞬間に感謝しています。」
エッジとダニエル・ブライアンはともに怪我による強制的な引退から復帰しましたが、そのスケジュールは大きく異なります。ブライアンはほぼ毎週レスリングをしていますが、エッジは過去1年間でわずかな試合しかしていません。クリスチャンはどのくらいの頻度で活動するつもりかと聞かれ、「定期的にプロレスをします」と答えました。
多くのプロレスラーがそうであるように、クリスチャンも演技に挑戦しています。様々な番組に出演しており、今後も出演する可能性を否定していません。
「演技をする事はとても楽しい事です。プロレスラーやパフォーマーとして想像する事が好きです。演技は自分に向いて言うと感じていましたし、自分よりも優れた人達と一緒に仕事をする機会を得た事も自分の助けになりました。自分が夢中になれる新しい技術を持つ事はとても楽しい事でした。」
キャプテン・カリスマはリング外でどのような活動をしているのでしょうか。
「私は走ることをとても楽しんでいます。走るのが好きなのは、走るのが嫌いだからです。怪我をしたときに始めたのですが、自分はあまり上手ではないし、好きではない事に気付きました。私にとっては、挑戦なのです。今でも週に数回、ヘッドフォンをうつけてポッドキャストや音楽を聴きながら、自分の頭の中で1人の時間を過ごすことがあります。」
「娘と一緒にいる時間が多いですね。一緒に遊んだり、泳ぎに行ったりしています。私はホッケーの大ファンなので、ホッケー中継を見て、リラックスするのが好きです。」
インタビューの最後にクリスチャンにキャリアの中で学んだ事を教えてもらいました。彼はビンス・マクマホンと彼がプロモに自信を持たせてくれた、という話をしました。
「ある時、Rawでプロモをしていて、言うべき言葉を暗記していました。エッジと私のプロモの最中に、ミック・フォーリーが出てきて中断する事になっていました。喋っている最中に頭が真っ白になって何も思い出せなくなってしまったんです。エッジも「どうしたんだよ」という感じでこっちを見ていました。」
「私は謝罪を始めてしまったんです。観客の顔は見えないとよく言いますが、あの瞬間全ての顔が見えていたと言っても過言ではありません。パニックなってしまって、よくなかったですね。フォーリーが出てきて「セリフを忘れたのか」ということを言ってました。」
「次の日、店に入るとビンスがいたんです。彼は「昨夜は素晴らしい内容だった」と言ってきました。「そうか?全部忘れたよ」と返しましたが「お前はヒールなんだ、ヒールであれば何をやっても許されるんだ。もし今度同じようなことがあったら、一歩下がって、一息ついて、相手を見るんだ。何の話をしていたのかを聞いて、元に戻ればいい。準備が出来るまで、連中は自分の話を聞く事は出来ないと思って行動をすればいいんだ」と言われたんです。それは大きな教訓となりました。それ以来、暗記するのはやめました。自分の声と話したい事の箇条書きを持って、出て行かなければいけないのです」
Bleacherreport
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