今週のAEW Dynamiteにて今夏、女子のタッグトーナメントを開催することが発表されました。参加タッグは今後追加される模様ですが、少しずつ女子部門の拡充を行ってきたAEWにとっては、新たな局面を迎えたと言えるでしょう。
【AEWが追い求めるタッグの面白さ】
AEWはプロレスにおけるタッグの面白さを追求してきたと言えます。立役者であるヤング・バックスはもちろんの事、ケニーも様々な場所でタッグの面白さについて言及してきました。
男子タッグはその他にもSCU、ベストフレンズ、THE HYBRID2、ジュラシックエクスプレスのようなインディーを席巻してきたタッグに加え、PnP、FTR、ルチャ・ブラザーズといった様々な団体で話題を振りまいてきたタッグも吸い寄せられるように集まってきています。
AEW Dynamiteの放送初期の主軸がタッグトーナメントであったことからも分かるように、AEWにとってタッグの戦いというのは非常に重要なファクターと言えます。
【女子×タッグを再定義する】
この方程式に基づいて、AEWは女子におけるタッグマッチを再定義しようとしています。
これまでAEWの女子部門はゆっくりとした浮上を続けていました。TVマッチの経験が少ない、というのは女子選手を取り巻く環境の問題だと思いますが、女子部門を取りまとめるケニーはここで何を見せたいかを常々語ってきました。
特に、女子ならではの特異性、まだ見た事の無いレスリングということへの強い思いを伝える中で、大柄の選手が多い中に里歩や中島翔子、坂崎ユカなどを配置することで、新しい光景を生み出してきたと言えます。
女子のタッグ、というのはAEWにとっては新たな試みではありますが、実際のところ、それはむしろオールドスクールな存在ではないでしょうか。
【オールドスクールな女子タッグというスタイル】
昨今、ユニット抗争の是非などが話題になっていますが、女子プロレスにおいてタッグというスタイルは過去を紐解いても、話題の中心にあったと言えます。
全女のWWWA世界タッグ王座と言えば、毎週のように王座戦が行われ、ビューティ・ペア、クラッシュ・ギャルズ、JBエンジェルス、ラス・カチョーレス・オリエンタレス、ZAP、ナナモモなど数多くの名タッグを生み出してきました。(マリン・ウルフとか色々触れたい気持ちは置いておいて)
日本の女子プロレスは今もタッグ王座が設立している団体が多く、非常に魅力的なタッグも数多く存在します。例えば、先出の中島、坂崎といえば、みらクりあんずというタッグチーム名で東京女子プロレスの初代プリンセスタッグ王者となっています。
WWEにおいても、その長い歴史の中で女子タッグ王座が作られた事がありました。1980年代のことです。昨年、WWE女子タッグチーム王座は新設され、女子のみのタッグエリミネーションチェンバーで初代王者が決定されました。ベイリーとサーシャ・バンクスのタッグ、ザ・ボス・アンド・ハグ・コネクションは愛憎入り交じる関係性でアップデートされていくタッグですし、対するカブキ・ウォーリアーズは唯一無二のタッグでしょう。
女子のタッグというスタイル自体は古くからあるものであり、日本では面々と続くものですが、視点を世界に向けると近年盛り上がり始めているスタイルと見る事が出来ます。
【女子タッグ×トーナメントという新機軸】
ここでAEWが女子タッグを再定義するために用意したのが、タッグトーナメントです。
既に男子で実験を行っているフォーマットですが、女子でこれを行う事はかなり特殊な状況と言えます。
例えば、男子の場合、メジャー団体、インディー団体を広く見ると、様々な形でリーグ、トーナメント形式の試合が行われる場合があります。しかし、女子でタッグでのトーナメントとなると、日本以外では滅多に行われる事がありません。
そもそもの女性選手の数の違いがありますが、これは世界中のプロレスファンがまだ見た事の無いプロレスになりうる可能性があるという事です。
しかし、懸念も一つあります。AEW放送初期の男子のタッグトーナメントは既に組んでキャリアも長いタッグの名手達が何人もいる中で、始まったばかりのAEWを盛り上げようと、非常にシビアな戦いを見せました。
ですが、AEWの女子部門において明確なタッグチーム、というのは多くありません。そういう状況でAEWが定義したタッグの面白さを女子選手でどれだけ作れるのか疑問を抱く部分があります。
【やはりタッグといえば………】
そんなタッグの職人不足に見えるAEWですが、うってつけの人物がいるではありませんか。ここはさくらえみの出番ではないでしょうか。
田村様とのNEO認定タッグ王者,米山とのJWP認定、デイリースポーツ認定タッグ王者、インターナショナルリボンタッグ王座は様々な相手と獲得しています。
毎度どこかチグハグで、いつの間にか喧嘩別れしながらも、何年かするとさくらのワガママと思いつきで再結成されるタッグパートナーが何人もいます。
志田の目の前に突然現れて、一番が欲しいと騒ぎ出して、いやいや組まされる光景はありありと浮かんできますが、キャリアの長さ、タッグの経験を考えると、これ以上の難敵もありえないとも言えます。今夏開催とされているだけに、様々な状況が変化して、日本からの移動が可能になれば、非常に面白い選択肢ではないでしょうか。
女子タッグトーナメントに参加するタッグチームは随時追加されるので、注目が必要です。
コメント
コメントを投稿