アイスリボンを電撃退団し、その日の夜、スターダムに現れたことで、業界の内外から大きな批判を受けたジュリア。ブシロードとの会見でもロッシー小川が苦言を呈されるなど揺れた。その後、スターダムとアイスリボン側での話し合いにより、ジュリアがスターダムでの活動をする目処が立ったわけだが、記者会見で木村花との大乱闘を見せ、これが紙面を飾った。
さらに初戦の相手に選ばれた葉月はツイッターで、このカードに対して団体への批判とこの試合負けますと発言。これが残り数少ない試合であることもあり、ファンの間でも団体の批判へと繋がった。
入場するも、固い表情。ゴングが鳴るがお互いに睨み合い、コーナーから動かない。一呼吸を置いて、ジュリアが離れると一瞥の後、葉月も動く。反時計回りに半周、リング中央で指の取り合い。この時点で少しでも有利な状態で組もうとなかなか組み合わない。ロックアップするも葉月がこれを足で切る。前方の回転から腕を取ったジュリア、素早いチェーンレスリングから葉月が足で頭を挟んだところで両者体を離す。観客からは両選手へのコールが飛ぶ。
場外での展開、客席の椅子に叩き込まれるジュリア。椅子を手にするも葉月は反対にジュリアの脛に椅子を叩き付ける。さらに逆方向の客席にも叩き込み、カウント18でようやく戻す。ボディスラム連打からセントーンはカウント2。
葉月は顔面ウォッシュからのスリーパー。ジュリアはこれを耐え切るも、反撃が出来ず。罵倒しながら顔面を蹴り飛ばす葉月。強烈な平手打ちを返すも倍返しとばかりの顔面蹴り。エルボーの打ち合いは、ジュリアのエルボーにどよめきが起きる。葉月の腕を取ると、そのまま体を回転させ、顔面を膝に叩き付けると、さらにネックブリーカー。インディアンデスロックに捉えると、髪の毛を掴んで絞り上げる。反則カウントから今度は腕を取ると左足で後頭部を踏みつける変形式のフェイスバスター。アメリカではPWGの創設者の1人スーパー・ドラゴンが使う拷問技である。
STFで絞るジュリア、なんとか逃れる。しかし、ロープ際、反対のロープへ走ろうとしたところを葉月は髪の毛を掴んで阻止。ヘアホイップの連続。だが切り返したジュリアはお返しの顔面ウォッシュからエプロンで葉月をスリーパーに捉えると、場外に葉月の体を落し絞首刑へ。
場外で再びインディアンデスロックから後頭部を踏みつける。大江戸隊は声を張り上げて抗議。リングに戻して、コーナートップからのミサイルキックは2カウント。エルボーの応酬から同時に同じ方向にロープへ走った葉月のバックエルボーが突き刺さる。反対ロープに走るも、今度はジュリアのビックブーツ。フェイントを入れた葉月が腕を取ると巻き込んでクロスフェイスを決める。葉月はスワンダイブからのミサイルキック、カウントは2。しかし、返した反動を捉えて、今度は右腕をロックしてのクロスフェイス!
コーナーへの串刺しバックエルボー、両足をロープにかけてのコードブレイカーで責め立てる葉月。ブレーンバスターの体勢、これを阻止すると、お互いにビックブーツで蹴り合い。2カウントで返されると、ジュリアはハンマーロックの体勢から肩に担ぎ上げると、半回転させて叩き付けるグロリアスバスター。ギリギリで返す葉月。絡み付いたジュリアは足を決めながら、右腕を左脇に差し込み、首を腕で決める複合関節技ステルス・バイパーで絞り上げると、葉月の動きが止まりレフェリーストップ。
試合後、葉月はニヤリと笑うと手を差し出すが、ジュリアは手を伸ばすものの、握手はせず。
リング上のマイク、またバックステージでのコメントでも「負けるつもりで戦ってる奴に負けるわけがない」と言いつつも、戦ってくれたこと、もうやることはないことについてジュリアは触れたのだった。そして、木村花を呼び出すと、2人のもみ合いはそのまま会場の外までもつれた。
非常に厄介な試合である。これだけの騒ぎになった人間が団体の中で誰と試合をするのか。花とのいざこざがこの後ラインナップされたとしても、そこに違和感無く繋げれて、対戦した事の無い相手でも不安がなく試合が出来る。葉月の仕事は完璧だった。
どちらが表で、どちらが裏か、女子プロレスは得てして分からない事が多い。大江戸隊の立ち位置からすれば、反体制的なポジショニングトークというのは至極真っ当ではある。故に葉月のツイートのなんでこんな試合というそぶりも正しい。それは虚実どちらかは定かではないが。
少なくとも試合後の葉月の口元に浮かべた笑みは、この試合を十二分に楽しんだようにも見えた。悲しむべきは、この状況を面白いと思うような選手があと数日でいなくなるということではないだろうか。
ジュリアに関してはやはりスターダムとは技術体系の違うところから来た選手だというのははっきりと分かっただろう(それを受け切る葉月の凄さよ)ビジュアルだけが優先された選手ではなく、タッグ屋として特にこの1年は熾烈な戦いをしてきたという事実は間違いが無いし、あの藤本つかさがレスリングを叩き込んだ実力者であるというのも確かである。
少なからず、この半年以内に一気にベルト戦線に顔を出すのは間違いが無いが、反対に花はここで安易に負けると、身動きを取るのが難しい状況になる。この劇薬をどう乗り切るのか。
【PREVIEW:STARDOM:12.8 アンドラス宮城 vs 花月 決別の一戦】
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