以前から何度か画面に出てきてはいたものの、AEWと正式な契約を結んでおらず、スポットでの登場となっていたアーン・アンダーソンが契約を結んだことがAEW公式Twitterで発表された。
オリジナル・フォー・ホースメンであり、リック・フレアーの右腕として知られる彼は、同時にWWEパフォーマンスセンターで長らくコーチを務めており、多くの若いWWEスターに慕われている存在である。プロレスの全てを知り尽くしたマスターの指導は定評がある。
これまでWWEと相対してきた多くの団体とAEWの状況が異なるのは、インディ団体からの寄せ集めだけでもないし、WWEを辞めたトップレスラーの働き口でもない点だ。
構想が語られた当初、トニー・カーンの持つ資金力から日本国内で言えば、メガネスーパーが参入したSWSのイメージで語られる事の多かったAEWだが、試行錯誤をしつつもクリエイト面での自由さ、というのが非常に重要視されていることが伝わってきている。
特にスクリプトに関する部分は度々、様々なレスラーから話題になる部分だが、現在のWWEの体制、ライターがレスラーのストーリーの大部分を決めてしまう実態は、レスラーの数が増え続ける今のWWEではレスラー自身が活用されているか疑問を生む余地が存在している。そうして辞めたのがジョン・モクスリーと言える。
それと同時に、ダスティン・ローデスやディーン・マレンコ、タリー・ブランチャード、今回、契約となったアーン・アンダーソンのような、レスリングの歴史に名を残すような名バイプレーヤーがここに連ねているのである。
彼等が見てきたレスリングビジネスの真実、リングの上での光景というものが、インディ団体から上がってきた若者達に与える影響というのは、非常に大きいと感じる。WWE、特にNXTの質が非常に高いのは、トレーニングセンターでの指導というのがある。才能を持っている選手が、才能のあるコーチによってそれを磨くシステムが、WCWにおけるパワープラント、90年代の下部組織システムを経て、日本の道場システムを混ぜることで完成されたとも言われており、AEWでもこれが期待されることとなる。
特に女子選手の試合を見ていると、様々な場面で雑な印象を受ける瞬間は否めないし、これは数字の面でも細かく見ていくと現れてしまう気がする。先行投資という意味合いが強いと感じるが、彼女達がアーン・アンダーソンのようなコーチの指導を受ける事で、その質を向上させることが出来るのではないだろうか。
しかし、フォー・ホースメンに関わる多くのレスラーがこうして集まってきているのを見ると、彼等とローデス家の関係やクリス・ジェリコへの信頼の厚さを感じる。リック・フレアーすらジェリコのセグメントへ好評を口にするなど、単純に見えている外側の部分だけでなく、内側の事でレスラーを安心させる要素が多いことは評価すべきではないだろうか。
また、同時に、コーディー・ローデスからヘッドコーチだけでなく、アーン・アンダーソンを個人顧問として招き入れた旨も発表されている。MJFとの抗争により味方を失ったというストーリーラインにいるコーディーに対し、画面内で彼の手助けをするという事も含まれている模様だ。
個人的にはPPV ALL OUTでショーン・スピアーズに見せた強烈なスパインバスターを再び見たいところである。
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