かつてプロレス業界でいえば、NOAHしか見ないファンがいたり、新日派、全日派に分かれたり、はたまた日本のプロレスは見た事が無くてフジテレビ深夜のWWEでハマってしまった人も少なくないだろう。
し
かし、この2020年へ一歩ずつ近付く現代、いや、現在進行形のプロレス業界はそうも言ってられないようだ。日本の業界で言えば、新日本はシングルの祭典
G1クライマックスの真っ最中、Aブロック、Bブロック、過去最大の20人の選手による戦いは東京、大田区総合体育館2連戦から間を空けずに札幌、北海き
たえ〜るでの1戦が行われているこの3連休だが、まるで呼応するように世界の業界も目紛しく動いている。かつてWWEとWCWが視聴率戦争を行ってきたよ
うに、1分1秒で物事は動いているといっても過言ではないのではないか。
【AEW】
ジャ
クソンビルで開催されたAEW、コーディーとゴールダストの実の兄弟が血まみれのシングル戦を経てタッグを結成。ヤングバックスの実の双子タッグとの対決
というメインも非常に知略を用いた面白い試合となったが、ありえないと思ったのは、「ケニー・オメガvsCIMA」の一戦だ。
おそらくこのカードは、1年前では想像もできない組み合わせである。G1覇者にして、IWGP王者になったトップガイジンのケニーと、古巣ドラゴンゲートを飛び出し、中国OWEという未開の地に足を踏み入れたCIMAが向き合うなど誰が考えれただろうか。
CIMA
は頻繁に海外遠征をし、そのコネクションがドラゴンゲートに優秀な外国人選手を呼ぶきっかけとなっていた話を以前したが、あくまでもインディー団体でしか
ない。WWEではリコシェが、新日ではオカダや鷹木というドラゴンゲートに馴染み深い選手が活躍する中で、ケニーと相対するのはドリームマッチと言える。
【新日本プロレス】
2日目の大田区総合体育館、メインに位置づけられたのは「棚橋vsKENTA」前日、棚橋はKENTAを「一人、迷子が紛れ込んでいる」と評した訳だが、言い得て妙である。
度
重なる肩の不調などもありWWEを退団したKENTAだが、かつてはNOAHを代表する選手の一人。特にブシロード体制以後の新日は他団体と積極的に絡む
こともなく、新日のファンは他団体を知らないと揶揄されるほどだ(実況陣もそこを踏まえてないところは苦言を言いたいところだが)
ヒデオ・イタミを名乗ってWWEにいた時には出来なかったKENTAのプロレス、好戦的で刺激的なヒリヒリとした攻防というのは、一戦目の飯伏戦では100%という状況ではなかった。しかし、棚橋を目の前にしたKENTAは紛れも無くあのKENTAだった。
む
しろ戸惑ったのは、客席のようにも見えた。外国人以外の未知の強豪を目にしたことのない中で、まるで対抗戦のような、一歩間違えれば蹴り殺してしまうので
はないかという殺気がぶつかるような一戦など、記憶にない。互いのプライドをぶつけ合うオカダ、棚橋や体力の限界に挑むケニーのようなそれではなく、触れ
るだけで裂傷を与えそうな鋭さを受け止めきれていないように見えたのだ。
迷子は異物へと変わり、これまでの新日では見れなかったプロレスとなった瞬間だった。
【WWE】
本当は、この速報が入ってこなければ、今頃G1の注目すべきはラリアットという記事を書いているはずだった。では、なぜ記事を変えたかというと、驚くべき事態になったからである。
WWEは、エクストリーム・ルールズというPPVが開催され、アンダーテイカーが久しぶりの試合を行うなど、早朝から大きな話題となっていたが、そんな中、なんと中邑がフィン・ベイラーの持つインターコンチネンタル王座を奪取したのである。
中邑とかつてのプリンス・ディヴィットというカードも非常に新日を意識したカードではあるのだが、中邑がインターコンチネンタルというベルトを巻くというのも、非常に赴き深いものである。
飯
伏がインターコンチには思いがあると語るように、新日の白いベルトといえば、中邑の代名詞とも呼べるようなタイトルだ。他団体ながらも同じ名前のベルトを
巻くとなれば話題性も高い。ましてや試合もさながら新日本のメイン級のような激しく衝突し、片時も目を離せないような展開となった。
ネット上の反応を見ても、今回の大会は非常に好評らしく、やはり外敵が生まれた時のWWEが調子に乗ると怖いというのを実感しているところだ。
【………?】
さて、タイトルでは、「そして………」と付けた訳だが、本日15日は昨日まで新日本が大会を行ってた大田区総合体育館でDDTが全席無料のビックマッチを開催するのである。
当
日券は10時半から発売、さらに13時15分からAbemaTVでも試合が見れるのだが、DDTといえば、飯伏、ケニーを排出し、サイバーエージェントの
子会社となり潤沢な資金を得、今年、新日がレッスルマニアウィークにアメリカ進出する裏で、同時にアメリカ進出。さらに、昨日の記事でも書いたように
DDTが持つブランドの1つ東京女子プロレスからAEWの興行に選手が参戦している状況とあり、実は世界的な流れの中で比重の何%かを担っている、といえる。
AEWでも、新日でも、WWEでもないプロレスというのがDDTには存在しており、今後世界的な戦略に打って出る事を明言している中で、とにかく見る人を増やすための興行を行うというのはあまりにも大胆ではなかろうか。
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